高みを目指す果てしない旅路、
敬愛と挑戦を込めたクラフトビール

小田急線狛江駅北口、喜多見駅北口からほど近い場所にある「Beer Cellar Tokyo」。
醸造所はIzumi brewery。ブルワー和泉俊介氏は、なんと平日は会社員だ。
大学生の頃、「醸造学」という講義で見学に行った、石川酒造の「ペールエール」に衝撃を受けてビール好きになった。
30代半ばで、その後の人生でやりたいこととしてのクラフトビールへの思い、特に、飲むより作りたいという思いが沸き起こり、兼業としての醸造所設立を目指す。
そんな中、狛江市のマンションの一画が見つかり、偶然にも住所が和泉本町で、和泉氏の苗字と同じ地名であることから、この場所での醸造をスタートした。

2015年にポートランドの醸造家育成機関「アメリカン ブルワーズギルド」で醸造について学んだあと、「コモンズブルワリー」で修行をし、コモンズのビールに惚れ込んだという和泉氏。
コモンズブルワリーは、惜しくも2017年にクローズしてしまったが、その味を引き継ぎたいとコモンズのビールを踏襲したビールをIzumi breweryで造っている。
ビールは、リスペクトの想いを込めてコモンズのレシピを採用したり、コモンズの快諾を得て、同じ酵母を主に使用してビール醸造をしたりと、深い愛が節々から伝わってくる。
看板ビールとして掲げる、セゾンスタイルの「3A Farmhouse Ale」も、コモンズの「Urban Farmhouse」のレシピで造りあげている。ほんのり甘く、スパイシーな風味が特徴。

そんなIzumi breweryは、ビール名の決め方にもこだわりが光る。
コモンズブルワリーでの修行時代にお世話になった師匠や仲間に「このビールがどんなものなのか」をすぐに理解してもらえるように英語表記にすることと、和泉氏の野球好きから、できる限り野球の用語を使用することを心がけている。
実際に、「3A Farmhouse Ale」の「3A」は、アメリカのメジャーリーグの一つ下のマイナーリーグから（日本で言う二軍のリーグ）採用した。
そして、コモンズのフラッグシップ、「Urban Farmhouse」をメジャーリーグクラスと捉えると、自分たちのビールはまだそこに至っていないが、いつかメジャーリーグクラスといわれるような素晴らしいビールを目指そうという思いから、敢えて一つ下のクラスで「3A Farmhouse Ale」と名付けられた。

「兼業でブルワリーをやることは誰にも勧めません。しかしながら、チームのメンバーや周囲の醸造関係の皆さん、そしてレギュラーと呼ばれる強力な常連のお客様に助けられながら、日々続けています。みんなありがとう。」と語る和泉氏は、こう続ける。
「ビール造りは、終わりなき旅だとも思います。お客様には出せるけれども満足のいかないビールができたときはもちろん、まずまずのビールができた時でも、そこからもっと良くするにはどうしたらよいのか、という想いが常に出てくるし、そうあるべきと思います。それがクラフトマンシップなのだろうと今のところ思います。」
これまで培った多くの仲間、そして高みを目指すこれからの終わりなき旅路にあるクラフトビールは、「Beer Cellar Tokyo」で飲むことができる。