多摩川の伝説を冠し、街と共に生きる
2023.8.17 INTERVIEW
10年以上にわたり、鍼灸整骨院およびデイサービスを営んでいる石原健司氏。デイサービスのレクリエーションの一環として「カラオケルーム」を作り運営していたが、コロナ禍に入り閉店。そんな中、元々好きだったビール造りを始めてみようと一念発起し、2023年2月に「稲田堤初のブルワリー」としてオープンした。
JR南武線稲田堤駅より徒歩7分、京王稲田堤駅より徒歩10分の場所にあるのが稲田堤麦酒醸造所(通称:イナバク)だ。
稲田堤で鍼灸整骨院をはじめこの街に縁を持つことになってからというもの、「稲田堤に貢献したい」という想いがふつふつと湧いてきたという石原氏。稲田堤の特産物である梨や葡萄を使ったビールも醸造を予定している。また、併設するタップルームのスタッフにはデイサービスや整骨院の患者さんもいるそうで、まさに「街と共に生きているビール屋さん」を体現している。
開業前から理想としていた「タンクを眺めながら飲める環境」を落とし込んだ店内では、クラフトビールはもちろん食事も提供。タップは最大10種(現在は6種)。自社オリジナルであり一番人気の「稲麦(イナバク)エール」などを中心に、ゲストビールも1〜2種提供している。
特徴的なカッパのマークの由来は、昔から石原氏の見た目が似ていたためあだ名が「カッパ」だったこと、多摩川には河童の伝説があることから。そのため、ビールにもカッパが絡んだ名前がつけられている。
看板ビールの「カッパの濁流れ」は、香りや甘み、苦みのバランスがとれた心地の良いヘイジーIPA。柑橘香がグッと体に染み渡り、暑い時期にもごくごくと飲みたくなる一杯。また、アンバーエールの「BRITISH KAPPA」は、麦芽感が強いアンバーエールで、コクや苦みも感じながらすっと消えていく後味が、一口、もう一口とグラスを口に運んでしまう味わいだ。
稲田堤初の醸造所ということもあり、「クラフトビールを飲み慣れていない人にも飲みやすく、クラフトビールの入り口になれば」という想いで造られている“イナバク”のクラフトビール。稲田堤という街と共生するビール屋さんは、地域の人やビール好きが行き交う憩いの場だ。
稲田堤麦酒醸造所
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神奈川県川崎市多摩区菅北浦2-21-1 Google Map
京王稲田堤駅より徒歩10分 南武線稲田堤駅より徒歩7分
044-944-2044
17時~23時(Lo.22時30分)
月曜定休日
RECOMMENDこのブルワリーのおすすめを飲んでみよう
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カッパの濁流れ
香りも、甘みも苦みも、全てが良い意味で平均的で、心地よいヘイジーIPA。ヘイジーは重い印象が強いけれど、かなり飲みやすい。「ヘイジー入門」があったら初歩として飲んでもらいたいくらい良いとこどりな感じ。グラスを鼻に近づけただけで、柑橘感がグッと体に染み渡り、暑い日にピッタリな印象。
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BRITISH KAPPA
第一印象に来るのが麦の甘み。麦感強めなアンバーエール。同じくらい苦みもしっかりしていて、一口飲むとグッと苦みが口の中に浸透する。でもすぐにスッと消えるので、かなり飲みやすい。冷えているとキリッと飲めるが、緩くなってくると甘みや苦みが顕著に現れる。温度によって顔が変わるので、いろんな趣味嗜好のビール好きに好かれそうな印象。