「古い」は「新しい」を表現する
繊細なクラフトビール
2022.2.10 INTERVIEW
KUNITACHI BREWERYは、"古いは新しい"を醸造理念に掲げている国立市初の醸造所。ブランディングからビール造りまで醸造家の斯波克幸氏が中心となって行っており、国立に親しんでもらえるような仕掛けが多く込められている。
JR中央線国立駅、JR南武線谷保駅からバスに乗って、桐朋学園バス停で降りた場所から程近くに、KUNITACHI BREWERYの直営店「麦酒堂KASUGAI」がある。
KUNITACHI BREWERYは、ブルワーの斯波氏が静岡県のAOI BREWINGで経験を積んだ後、地元・国立の酒屋「せきや」から声がかかり、醸造所の立ち上げに携わったことから始まった。
「せきや」の歴史は古く、江戸時代の終わりまで鋳物の製造業を営んでいた鋳物屋だったが、以降は鋳物屋から酒業に転じ、今年で110年目を迎える老舗だ。
前会長は、かねてからものづくりに回帰する夢を抱いており、それを実現したのがKUNITACHI BREWERYである。
ビールを造る上で大切にしているのは、地元のビール“ローカルビール”を造るということ。
そして、醸造理念は、”古いは新しい。”
看板ビールの「1926」は、国立市の象徴の一つ旧駅舎の竣工年を冠して、国立をイメージして造り上げられた。爽やかで優しい香りと、麦の甘みやほのかな苦味を感じることができる繊細な味わいが特徴。その繊細さには、造りにおける新しい技術や考え方が反映されている。
この「1926」のスタイルはケルシュ。ケルシュは、ドイツのケルン市で作られている伝統的なビアスタイルでもあり、上面発酵のビールながら下面発酵のビールのような軽やかさも兼ね備えるため、二面性を備えるハイブリッドビールと呼ぶ人もいる。
「古き良き街並みが残る南側と、都市計画に基づいて新しい地域の北側が共存している国立市。
そうした古いと新しいという二面性を表現できるビール、そして醸造理念と、伝統的なスタイルを尊重しつつ新しいことにも積極的に挑戦しているKUNITACHI BREWERYの定番ビールを考えたとき、ケルシュスタイル以上にふさわしいビールはありませんでした。」と看板ビールへの思いを語る斯波氏。
KUNITACHI BREWERYは、古さと新しさが共存するビール造りと、ビールの苦みが苦手な人にも楽しんでほしいという思いから、アルコールが高すぎない、飲みやすいビール造りを心がけている。
ブランディングからビール造りまで斯波氏が中心となって行っていて、ただ飲むだけでなく、ビールに込められた名前やメッセージ、ラベルのイラストまで、世界観をまるごと楽しめるように考えられているところも注目するべきポイントのひとつ。
こうしたビールは、醸造所の隣にある、直営店の麦酒堂KASUGAIで味わうことができる。
その他にも、国立駅からすぐのSEKIYA TAP STAND −せきやタップスタンド−にてビールを購入することができる。
ビールを買って、飲みながら国立の街を散策し、街並みから新たな発見をしてみるのもおすすめだ。
KUNITACHI BREWERY
販売店・飲食店
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麦酒堂KASUGAI
東京都国立市東3-17-27 Google Map
国立駅南口から徒歩15分
042-843-0990
営業時間 月・火・木 11:00〜15:00、17:00〜21:00/金 11:00〜15:00、17:00〜22:00/土 11:00〜22:00/日 11:00〜21:00
定休日 水曜 -
SEKIYA TAP STAND
東京都国立市中1-9-30 せきや1F Google Map
042-571-0001
営業時間 11:00~22:00
定休日 なし
RECOMMENDこのブルワリーのおすすめを飲んでみよう
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1926
KUNITACHI BREWERYのフラッグシップビールは、旧国立駅舎の竣工年に由来した名前を冠するケルシュ。ケルシュは、上面発酵酵母を使いながら低温熟成するので、下面発酵のようにすっきりとした味わいが特徴。新しさと古さが共存する国立を、同じく二面性の持つケルシュで表現している。爽やかで優しい香りと、麦の甘み、ほのかな苦味が繊細なバランスを成立させている。 “きれい”という言葉がぴったりで、何杯でも飲めてしまう。
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Hop Filament -Centennial-
1つのホップにフォーカスを当ててその個性を楽しむ「Hop Filament」シリーズの、「センテニアルver.」のクラフトビール。センテニアルとはアメリカ産ホップで、バラやゼラニウムのような華やかな香りが特徴。優しくスッキリとした味わいで、飲んだ後のライムのふわりとした余韻を楽しむことができる。